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がん政策サミット2014(最終回) 開催レポート

  「地域医療計画のPDCAサイクルのためにいま必要なこと」
 厚生労働省医政局指導課課長補佐 佐藤 礼子さん

各都道府県で始まる「地域医療構想」の議論へ参画を

 2012(平成24)年、社会保障・税一体改革の議論があり、自民党が主導して、民主党、公明党との3党合意に基づく議員立法ということで社会保障制度改革推進法ができました。昨年8月には社会保障制度改革国民会議の報告書が取りまとめられ、秋には社会保障プログラム法が成立し、社会保障審議会医療部会から出された「医療法等改正に関する意見」も踏まえて、いま国会で医療法改正の審議が進んでいます。

 医療法改正法案には、(1)病床機能報告制度、(2)地域医療構想(ビジョン)、(3)新たな基金の創設といった大きく3つのキーワードがあります。そして、4つ目のキーワードが「協議の場」の設置です。社会保障プログラム法を受け、現在、医療法改正も含めて医療介護一括法案の形で審議が進んでいますが、それらは皆「2025年問題」を乗り越えるために一体化して進めるべきものと私共は考えています。「2025年問題」とは、いわゆる団塊の世代の皆様が75歳以上になる2025年をいかに乗り越えるかです。

 今年10月には各病院が病棟ごとにどのような医療を担っているかを都道府県に報告する「病床機能報告制度」の運用が始まります。来年4月以降には、こうしたデータも活用しながら都道府県が「地域医療構想(ビジョン)」を作成します。医療計画は5年ごとの計画でしたが、地域医療ビジョンは2025年に向けた中長期的な計画です。2025年にどれだけ医療需要があるのか推計し、現在の医療提供体制とのギャップを埋めるために何が必要なのか、その施策(事業)を盛り込むのが地域医療構想のポイントになっています。

 そこで重要になってくるのが、医療機関同士の機能分化と連携です。病床機能の変更を含めて、医療機関同士の自主的な話し合いで地域における役割分担を話し合っていただく。そんなことができるのかと考える人も多いかもしれませんが、今回は実効性を持たせるためのツールを用意しています。一つは、都道府県が医療機関の「協議の場」を設定し、住民、保険者、さまざまな関係者にも協議の場に入ってもらうことです。そして、病床の変更を考えた医療機関などには「新たな基金」から財政的な支援をします。新たな基金の用途には3つあり、(1)医療機能の分化・連携、(2)在宅ケアの推進、(3)医療従事者の確保、に使うこととしています。さらに、都道府県知事の権限を一定程度強化し、「協議の場」で決まったことに従っていただけない医療機関の名前を公表したり、補助金・融資対象からの除外、地域医療支援病院・特定機能病院の承認の取り消しといったことができるようにして、実効性のあるものにする工夫を法案に盛り込んでいます。これらの工夫は、平成25年12月27日の社会保障審議会医療部会「医療法等改定に関する意見」が基本となっています。

 医療・介護サービスの提供体制改革のための新たな財政支援制度には今年度公費で904億円の予算が組まれています。国が2/3、都道府県が1/3を負担します。2015(平成27年)12月ごろに恐らく消費税を10%にする判断がなされ、2016(平成28)年4月に診療報酬改定、2018(平成30)年4月には医療計画、介護保険事業支援計画同時改訂、診療報酬・介護報酬の同時改定が予定されています。

 今回の医療法改正案には、「医療機関相互の機能分担を理解し、医療に対する選択を適切に行い、医療を適切に受けるように努めなければならない」といった国民の責務が初めて盛り込まれました。国民・患者の皆さん、そして保険者のステークホルダーとしての位置づけがますます強調されるようになります。医療計画にはPDCAサイクルを回すための指標が盛り込まれていますが、指標を地図上で表示し可視化できる地理情報システムが作成されました。このシステムを活用することによって、医療計画のPDCAサイクルをより地域の実情に応じたものにしていけるのではないかと思います。

 医療計画には5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)の対策を盛り込むことになっていますが、がんはほかの4疾患とは異なる特性もあります。だからこそ、皆さん患者体験者の参画が重要になってきます。医療計画はあくまでも枠組み作りで、がん対策を充実させる側との一体化が重要です。両方のプレイヤーである国民、患者の方々が関わっていただき、2025年に向けての“チーム”作りに取り組んでいただければ幸いです。
( 医療ライター・福島安紀 )


参考サイト

>> 社会保障制度改革国民会議報告書
>> 社会保障審議会医療部会の「医療法等改正に関する意見」取りまとめ



  当日プレゼン資料: 地域医療計画のPDCAサイクルのためにいま必要なこと (0.7MB)


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(更新日付:2014年06月17日)

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