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がん政策サミット2014(最終回) 開催レポート

  「緩和ケア」
 帝京大学医療共通教育センター
 帝京大学医学部 腫瘍内科 教授 江口 研二さん

緩和ケア研修で医療者の診療行動が変わったかアウトカム評価が重要

 緩和ケアに関しては、特例交付金で患者会の企画に補助を出している県があり、緩和ケア研修を多職種チームが全員受けるなど、具体的な数値目標を設定している県もありました。研修を受けるだけではなく、研修を終えた医師たちの診療行動が本当に変わったのか、その効果をみるアウトカム評価と持続性を担保することが大切だと思います。緩和ケア病床はただたくさん作ればいいというものではないので、適切な数値目標は何か考える必要があります。県によっては、在宅ケアの充実の中で、「医療用麻薬の取り扱いができる調剤薬局を増やす」という目標を立てている県がありました。分子標的薬の経口薬もたくさん出てきていますし、がん治療薬や医療用麻薬を扱う調剤薬局を地域の中で利便性をある程度満たせるように増やすことや、患者さん宅へのデリバリーなどをかんがえることは非常に重要です。

 また、兵庫県は「緩和ケアを受けたと認識できる患者さんやご家族の割合を施設でアンケート調査する」とし、「拠点病院における入院患者のうち、緩和ケアを受けたことを自覚する人を50%以上にする」との目標を立てていました。50%では低すぎる目標かもしれませんが、患者さん側の認識や患者さんからの緩和ケアへの要望を調べる意味でも、地域のがん診療医療機関を網羅的に横断的に調査してみるといろいろな示唆が得られるのではないかと思いました。こういった調査をすることは、医療者が患者の苦痛症状に対するスクリーニングの習慣を身につけるという意味でも重要です。

 「がんと診断されたときからの緩和ケアの充実」のためには、緩和ケア研修出席者数を増やすこと、市民啓発、緩和ケア病棟設置はもちろん重要ですが、実現する資金も必要です。でも、その投入効果をみるアウトカム指標がなくてもよいのか、国のがん対策推進協議会でも再三問題になっています。啓発キャンペーンを受けた市民の受療行動や緩和ケアへの認識が変化したのか、新規設置された緩和ケア病棟によって地域の緩和ケアにどのような変化が起こったのか。今後の施策の方向性の選択と充実強化には、アウトカム評価計画の立案、施行、分析が不可欠です。行政が資金を出し協議会ワーキンググループとして定期的な調査を実施するといったような取り組みが必要ではないでしょうか。

 ディスカッション

 ディスカッションでは、地域在宅緩和ケア推進協議会が設置され、在宅緩和ケアコーディネーターの配置が進められている広島県などの好事例が紹介されました。また、患者関係者からは、「緩和ケアに介護の部分が必要です。知り合いに、拠点病院から小規模多機能施設に移られて、1カ月に1回地域の緩和ケア医が訪問して、とてもいい形で最期を迎えられた方がいました。大きな箱モノを建ててやっていくのは無理なので、身近な小規模な介護施設を活用していく方法もある」との発言も。江口さんは、「高齢のがん患者さんが増えており、介護と緩和ケアの窓口を一つにすることが重要です。また、除痛率調査を試みているところもありますが、除痛率に関してはまだ評価指標として一定のものが決められていないので評価が偏る可能性を加味する必要があります。いずれにせよ、患者さん側のアウトカムをどう評価するか指標作りをしなければなりません」とまとめました。
( 医療ライター・福島安紀 )



  当日プレゼン資料: 緩和ケア (0.1MB)


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(更新日付:2014年06月17日)

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