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がん政策サミット2014(最終回) 開催レポート

  「国のがん対策指標」
 国立がん研究センター がん対策情報センター長 若尾 文彦さん

新たな指標を策定、患体験調査等を実施し、進捗を評価

  指標を考えるにあたっては、目標との関連性、問題の大きさと意味の明確さのバランスを考える必要があります。目標には、多くの要素が複雑に関連しており、クリアカットに対策を評価できるような完璧な指標はありません。そのため、指標を決めるにあたっては、関係者が十分に検討し、合意形成することが必要となります。

 昨年3月、別の研究班で98項目の質問項目によるQOL関連調査のパイロットスタディを実施し、今年度大規模調査をする計画が立てられたのですが、昨年6月のがん対策推進協議会でこのアンケートでは患者さんのQOLは測れないなどの意見が出され、調査について見直すことになりました。しかし、その後、研究班が解散となり、調査の見直しと計測ができない状況となりました。その状況を打開するために、約半年後に、新たな研究班が組織されました。その研究班は、がん対策の進捗管理指標を測る研究班(代表:若尾文彦)、緩和ケアの評価に関する研究班(代表:加藤雅志)、がん疼痛緩和に対する取り組みの評価と改善に関する研究班(代表:細川豊史)の3つです。私のところでは緩和ケア以外の分野別施策と全体目標の評価を担当しました。

 分野別施策の指標については、現協議会委員と前協議会委員、専門家の合計74人に意見を聞き、デルファイ法という合意形成をするための方法で作成しました。デルファイ法とは、「意見収集」と「集計のフィードバック」を繰り返して意見の集約を図る方法で、診療ガイドラインなどもこの方法で作られることがあります。国の計画で分野別施策およびその達成度を測るための個別目標には9項目ありますが、がん登録は単に進めるものですし、がん予防、がんの早期発見についてはすでに指標が確立しているということで除外し、残りの項目を整理して、医療分野、研究開発分野、社会分野の3つの分野に分けました。テーマごとに5指標程度を選んだ47指標を選定するとともに、計測可能な44の構造指標については、採択することとしました。全91指標のうち、今年度測ることが困難であるとされたものが9、難しいが試行的に測るものが6個あり、実際の計測指標は、医療分野50、研究開発分野11、社会分野15の計76指標となります。評価の情報源は、拠点病院現況報告、拠点病院に今年度新たに行う調査、患者体験調査、DPCやレセプトのデータ、PMDA(医薬品医療機器総合機構)への依頼などです。

 全体目標の進捗状況を測る指標は、フォーカスグループインタビューによって、「何がどうなれば全体目標が達成されたといえるのか」を聞いて、要素を絞り出していく方法を取りました。前・現協議会委員と国立がん研究センターの患者・市民パネルの方々にインタビューとアンケートを実施し242の話題が出ました。それを6つのカテゴリに整理し、43の要素を抽出した上で、重要性と患者調査が情報源となるという点から7要素に絞り、それへの対応質問19項目を作成しました。

 この全体目標から作成した19項目と分野別施策から患者体験調査として選定された16項目、さらに、緩和ケアの検討から選定された3項目を合わせた35項目を「患者診療体験調査」として、策定しました。今年度、この35項目に関する調査を、研究班として実施することの制約などを考慮した上で、100病院(全都道府県拠点病院+地域拠点病院各県1か所+国立がん研究センター中央病院と東病院)で各100症例、計1万人を対象とすることを第43回がん対策推進協議会に提案し了承され、年度内に計測を行う予定です。今年度は研究班で調査しますが、指標は一回測って終了するのではなく継続して測らないとなりません。評価指標の計測について、予算を確保して、事業化し、体制を整備する必要があると考えます。
( 医療ライター・福島安紀 )



  当日プレゼン資料: 国のがん対策指標 (1.6MB)
  当日配布資料資料: 採用指標一覧ほか (0.65MB)


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(更新日付:2014年06月17日)

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