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がん政策サミット2014(最終回) 開催レポート

  「がんに関する相談支援と情報提供」
 国立がん研究センター がん対策情報センター がん情報提供研究部 部長 高山 智子さん

さまざまな人が関わって、支援を受けたいときに受けられる環境づくりを

 この分野では、情報提供すること、相談支援することが最終目標ではありません。その情報や相談した内容をその人なりに活用できる環境や体制を用意することが大切です。同じ人でもそのときに置かれた状況によって受けたい支援が変わります。その人がそのときに求めている情報や支援の幅はとても大きいので、どういう人を想定するかで、情報提供や相談支援の体制をつくるかという目指す方向性も変わります。隣の県でやっていることをそのまま応用できないこともあります。

 それぞれの県の事情や、そこまでに蓄積されている状況、準備段階があるので、何が好事例かといったものを選ぶのは非常に難しい作業でした。何らかの活動を行うには、たくさんの人をその気にさせて、物事を動かすということになります。ですので、計画をどうつくるか、企画をどうつくるか、見せるかはとても大切です。そこで企画に大切な「なぜその事業を行おうとしているか“企み”が読み取れる」という観点で選ばせていただきました。そういった観点で選んだ好事例は、千葉県のポータルサイト「ちばがんなび」の作成・活用、岐阜県のぎふ・がん医療サポートブックの作成・活用やがんピアサポーター必携の作成、沖縄県の離島のがん相談支援事業と市立図書館のがん関連図書コーナー設置です。これらの事業は複数の関係者が関わらなければ実現できないものです。一つの活動をめざすことで、複数の副次的な効果や作用が生まれるのではないかと思いました。また、東京都の「がんに関する情報の共有と一元化」は、一見非常に地味に見えますが、これがないと求められている情報提供・相談対応ができません。目新しいものがどうしても目を引くかもしれませんが、こうした地道に常に行っていく事業というものも、がんの情報提供や相談支援をしていく上では基盤としてとても大事なものですので、忘れないようにしていただきたいと思います。

 私が知っている事業から2つの好事例を挙げさせていただきます。一つは、山形県の「がん患者就労・生活支援事業」です。タイトルに「生活」という言葉が入れられています。就労だけではなく、何を支えたいのか、支えようとしているのか、さらに広がりを持った内容であるということが伝わってきます。この事業の中には、4つの要素が入っています。「医療用ウィッグ購入費助成事業」では、薬剤性脱毛に悩むがん患者のウィッグ購入費用(上限1万円)を助成。「アピアランス相談支援員養成事業」では、薬剤性脱毛サポート美容師研修会を行い、美容師さんと一緒に行います。そして、「関係機関連絡会議を開催」し、県内7か所の拠点病院で年2回、治療、就労、外見上の悩みに関する「ワンストップ相談会を開催」するとなっています。いろんな要素があり、さまざまな人が関わった事業です。パンフレットもとても素敵で、ウィッグのことで相談するときに、どんなことに配慮してほしいか、「薬剤性脱毛サポート美容師のお店」の情報が、利用者の視点で、個室対応、時間外対応、電話対応しているかを含めて一覧で見られるよう工夫されています。こういう美容室やそれを支える人たちが地域にいると思うだけで、気持ちが温かくなるような内容です。

 もう一つは、長崎県の「がんと向き合うサポートブックながさき」の作成です。その中に、「情報探しの第一歩を図書館で」というコーナーがあり、「どんな些細なことでも、まずはお気軽にお声がけください」と書いてあります。パンフレットはダウンロードできるのでご覧になってみてください。図書館も情報提供の拠点の一つに巻き込み、県内38か所の図書館の所在地の紹介、がんや病気と関連する絵本などの紹介もされています。まさに、司書さんたちと力を合わせてつくられている情報だと思います。編集・発行には長崎市立図書館が加わっています。がん対策は頑張れば頑張るほどマンパワーが足らない、ということを多くの方は実感されているのではないかと思います。山形県の美容師さん、長崎県の図書館司書さんたちのように、仲間が増えたらとても心強いと思います。そして地域の美容師さん、司書さんたちが、受け手としてではなく、担い手として、がんやがん対策についての知識を得て、周りの人たちとコミュニケーションをとるということは、とても大切なことです。それだけで大人に対するがんの普及啓発のきっかけにもなっていくと思います。他県のヒントを参考にしながら、自分たちの県でできることからまず始めて行ってはどうでしょうか。
( 医療ライター・福島安紀 )


  当日プレゼン資料: がんに関する相談支援と情報提供 (1.4MB)


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(更新日付:2014年06月17日)

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