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がん政策サミット2014(最終回) 開催レポート

  「患者アドボケートの役割と責務」
 米国患者アドボケート ポーラ・キムさん

LEARN、BUILD、REACHがキーワード

 父がすい臓がんで亡くなったのをきっかけに、私がアドボカシー活動を始めて約16年が経ちます。父が亡くなった後、患者会の「PANCAN(すい臓がんアクションネットワーク)」を作ることにしました。われわれ自身が行動しなければならないと考え、私たちは政府のがん研究予算を4倍にしました。みんなで声を集めて、政治家に呼びかけ、企業と協働する、教育、支援を提供していくことが大事です。

 今日はアドボカシーとして大事なポイントをお話しします。がん対策に関わるステークホルダーには受益者の患者・介護者、医療関係者、政策立案者、資金提供者など一緒に協働しなければいけない立場がたくさんあります。患者さんは情報を必要としていて、意思決定するときに時間が少ししかないことが多く、通常少しのサポートしか得られないことが多いのが実態です。参加可能な臨床試験のことを教わらないかもしれません。特に都道府県のがん対策のために誰かと協働するときには、何を達成しようとしているのか、誰にコンタクトしたいのか、何をしてもらいたいのか、どのようにコンタクトしたいのか、 どんなメッセージを伝えたいのか、どれくらい上手くいっているのか、確認しながら進めることが重要です。

 協働することで次のような5つの利益が生まれます。(1)橋をかけることが進歩に(Build BRIDGES= Progress)、(2)立場を超えて理解が広がる(Understand ACROSS Sectors)、(3)洞察が主導権をもたらす(Insight ACHIEVES Initiative)、(4)リーダーシップが橋をかける(Leadership BUILDS Bridges)、(5)行動を促進する(Drive ACTION Together)。5つのポイントの英語の頭文字はBUILDです。立場を超えた橋をかけ、一緒にやることが大事です。昨年、「アドボケートを進める5つの秘訣(LEARN)」の中でもお話ししましたが、明日やればいいと考えずにいまやりましょう。一人ではできませんから、チームを組んでみんな一緒にやり、新しい人に橋渡ししていくことも大事です。皆さんがトップだったらずっとそこに居続けないでください。新しい、若い人に入ってきてもらって育てるのが大事です。

 次に、患者アドボケートの役割と責務について5つのポイントREACHを話します。1つ目は、研究の促進をすることです。研究が進歩をもたらします(Research ADVANCES= Progress)、2つ目は教育で、勉強は皆さんの力になります(Education EMPOWERS Everyone)。研究を勉強し理解しましょう。私も最初は公共政策のことも知りませんでしたし、母親として子育て中心の生活でした。患者・家族にも臨床試験の重要性を説明してください。分からないことがあったらいつでも質問できる医師・研究者を見つけてください。研究者が知らないことは、皆さんが伝えていく必要があります。

 3つ目、意識を深めることでムーブメントを起こし協働が生まれます(Awareness CREATES Movement)。皆さんが日本のがん登録の実現に絞って活動を続け、それを実現したように、何かテーマを絞るのも一つの方法です。予算を投入してもがん登録がなければその結果どうなったか測れません。地域がん登録をやっている人に感謝を伝えてください。4つ目、協働がチームを構築します(Collaboration BUILDS Teams)。患者関係者だけではなく、行政や企業とも協働していきましょう。5つ目は希望を持つこと。希望がリーダーシップを高めます(Hope INSPIRES Leadership)。リーダーシップがなければ何もできませんし、どこへも行けないのです。

 こうしたLEARN、BUILDREACHが私の経験から導き出したアドボカシーの秘訣です。皆さんは、きっといろいろなことを実現できるはずです。

 ディスカッション

 米国で患者アドボケート活動を推進してきたポーラ・キムさんに、多くの質問が寄せられました。「仕事、家庭のこともある中で、モチベーションをどうやって維持していっているのか」との問いにキムさんは、「全体戦略を忘れないようにしつつも、一歩一歩できることに分解してやってみてはどうでしょう。また、いろいろな人からサポートが得られるかもしれませんから、そういった支援は遠慮なく受けるようにしましょう。続けていくのは大変だし、家族や仕事も大事だし、悩んだりイライラしたりすることもあるかもしれません。でも、私たちのことを頼りにしている患者・家族のことを放ってはおけません。もちろん、燃え尽きないように、ときには休憩してください」と話し、参加者の共感を呼んでいました。
( 医療ライター・福島安紀 )


  当日プレゼン資料: 患者アドボケートの役割と責務 (0.7MB)


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(更新日付:2014年06月17日)

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