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誰かがやらなきゃ変わらない 〔全3回〕 郷内 淳子さん

がんの治療を受けた大学病院の後押しで始めた患者会活動。県の患者委員として活動するうちに、患者が県のがん医療を変える手ごたえを少しずつつ感じていく―――。

誰かがやらなきゃ変わらない 〔全3回〕 郷内 淳子さん
がん 郷内 淳子さん
宮城県がん対策推進協議会 委員 カトレアの森 会長

 

病院とつながっていたい一心で、患者会設立に参加

―― 患者として宮城県のがん対策に関わることになったきっかけを教えてください。

私は2004年に卵巣がんの手術と化学療法を受けました。治療が終わって1年くらいたったころ、ドクターから「婦人科がんの患者会を作らないか」と言われ、同じように声をかけられて集まったがん体験者8人で、2006年3月に「カトレアの森」を立ち上げました。私は東北大学病院で治療を受けたのですが、婦人科の教授以下、医局を挙げて患者会設立を後押ししてくれた形です。

そのころの私は、病院へは定期検診のために行くぐらいで、再発への不安も強く、精神的に非常につらい思いをしていました。がんに対する情報もあまりなくて心細い気持ちなのに、それを受け止めてもらえる場所もなく、悶々としていたんですね。ですから、患者会の話が持ち上がったときには、喜んで飛びつきました。ほかの患者とのつながりも欲しかったし、正直、患者会活動をすれば病院とつながっていられるという気持ちもありました。カトレアの森の会員は、東北大学病院で治療を受けた患者だけではなく、県内に広がり、2008年12月現在会員は80人くらいです。

しばらくは患者会活動に専念していたのですが、昨年、宮城県がん対策推進協議会が発足したときに患者委員になりました。協議会の委員を決める際、宮城県でも患者委員を入れようという話になりましたが、県では、どこにどのような患者会があるか把握していなかったそうです。たまたま県の職員が、東北大学病院に行ったときに、院内報を見て私たちの会の存在を知り、患者委員をやってほしいと依頼が来たのです。実は、そのときには各都道府県でがん対策基本計画を作ることも知らず、何をやるのかよくわかりませんでした。でも、患者として言いたいことはいろいろあるので、引き受けてみようと思いました。

国や他県の患者委員に触発されパブリックコメントを集める

―――実際に患者委員として参加してみていかがでしたか。ご苦労もあったでしょうね。

県の協議会には、家族の会をやっている委員もいたのですが、患者として入ったのは私一人でした。それまで医療関係の協議会というのは、行政と医療職だけで議論が行われていたわけで、そこに患者として突然飛び込んだ感じで、最初のうちは、会合に行ってもなかなか議論に加われませんでした。行政や医療関係者も、「患者会代表だからクレームばかり言うのか」と構えているようなところがありましたし、私自身も何をどうすればいいのかわからなかったんですね。患者の立場から意見書を出したりしてはいたものの、月日だけが流れていく焦りがありました。

ところが、2007年12月、東京で開かれた第1回がん政策サミットに参加し、私の認識はガラリと変わりました。国や都道府県のがん対策基本計画策定に患者委員を入れるのがどんなに大変だったかという話を聞き、私が患者委員として参加している意義をつきつけられたような気がしたからです。また、ほかの県のがん対策委員が私と同じように苦労しているのもわかりましたし、宮城県がいかに遅れているか実感しました。

「このままではだめだ」と大いに触発されて帰ったところ、県から手紙が来ていました。それは、県のがん対策推進計画の素案ができたので、パブリックコメントを12月18日から1月15日の間に募集しますという内容でした。年末年始の忙しい時期にパブリックコメントを形だけ募集しようとの県の姿勢には、反感を感じましたし、本気で患者とか県民の意見を吸い取ろうという気はないなと思いました。

そこで、年明けの1月9日、同じ協議会委員で、在宅緩和ケア支援センター代表の方と一緒に、仙台市内で「患者の声を募る会」を開いたのです。この会には、新聞を見て開催を知った人など、患者体験者とその家族が県内から集まり、さまざまな意見が出されました。そして、そのときに出た意見を整理して、参加者の許可を得たうえでパブリックコメントとして県に提出しました。




郷内 淳子(ごうない じゅんこ) さん

医師の呼びかけで、婦人化がんの患者会「カトレアの森」発足に関わり、初代会長を務める。第1回がん政策サミットに参加し、全国の患者たちの活躍に大いに啓発され、宮城県がん対策推進協議会委員として精力的に活動。厚生労働省がん対策推進協議会委員。東北がんプロフェッショナル養成プラン評価委員会委員。

更新日:2009年08月31日

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