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患者が言わなきゃがん医療は変わらない 〔全3回〕 安岡 佑莉子さん

娘のがんで思い知った情報の不足。ないのであれば作ろうと始めた患者会活動を通して、がん政策の遅れを痛感する――

患者が言わなきゃがん医療は変わらない 〔全3回〕 安岡 佑莉子さん
がん 安岡 佑莉子さん
がん対策推進協議会委員 高知県がん相談センター・センター長 高知がん患者会「一喜会」会長

--患者・家族として、まずは高知県のがん対策に関わるようになったきっかけを教えてください。

 1999年に当時22歳だった娘が、スキルス性の進行胃がんで、あと1年しか生きられないかもしれないと言われました。ここまで育てて死なせるわけにはいかない。その一心で必死に勉強しましたよ。そのときいろいろ情報がほしくて患者会を探したのですが、高知県内には、乳がんの団体しかなくて、私たち母娘が参加できるものがありませんでした。患者のほしい情報も患者会もない。ないものは作ればいいじゃないかということで、2002年に、娘の主治医だった先生と2人で、がんの種類を問わず誰でも参加できる高知がん患者会「一喜会」を立ち上げたのです。
 最初は、勉強会をしながら、自分たちの体験を語り合うような会だったのですが、活動しているうちに、がん医療にいろいろ足りない面が見えてきました。それで、県の担当課へ行っていろいろ要望したり、抗がん剤専門医を早く育成してほしいなど、当時の県議会議長に陳情書を出したりするようになりました。
 また、署名を集めて、厚生労働省に対して、腎臓がんの抗がん剤、乳がんの抗がん剤の早期承認を求める請願書も提出し、比較的早く認可にこぎつけました。海外ですでに使われているものはすべて早く承認してほしいのだけど、私たちがやっている患者会の会員の中に、その抗がん剤が認可されなくて困っている人がいると、「とにかく早く何とかしなくちゃ」と余計に力が入ります。

--2007年3月に高知県がん対策推進条例ができたのも、安岡さんたちの活動の成果ですが、条例を作るのは大変でしたか

 県の担当課に話に行っても取り合ってくれないという状態が結構長く続いたんですよ。たとえば、拠点病院にがん患者とその家族の相談支援センターがありますが、それがあまり充実していませんでしたし、拠点病院ではない病院にかかっている患者もたくさんいる。拠点病院にかかっていても、その病院の先生の苦情はそこの相談支援センターには言えない。困った患者や家族は、私の自宅や携帯に電話をしてきますから、毎日長時間電話で相談を受けてお風呂も入れないし、電話代は月3万円を超えるような状態でした。だから、県独自のがん相談センターがほしいという話を県にしたのですが、当初は取り合ってもらえませんでした。
 これはどうすれば作ってもらえるのだろうかということで、すでに島根県でがん対策推進条例ができていましたから、高知県でも条例を作ってもらうしかないと考えました。それで、当時の県議会議長に、こういう条例を作りたいとお願いしたんです。そうしたら、議員提案で条例を議会に提出してくれて、条例自体はかなりスムーズにできましたね。

--やはり、県議会議長に頼むというのが条例作りの近道なのでしょうか。

 条例を作るには、議員提案と一般市民の直接請求といった大きく二つの方法があるのですが、一般の人の請求はほとんど認められなくて、やはり県議会議員に頼むのが一番早いと思います。それも、議会の最大会派に属していて、県の議員連盟の政務調査会長とか幹事長、議長など実力のある人に頼むことも重要と思いました。。まずは嘆願書とか請願書を出して、条例作りへの布石を作っていきました。

--条例制定後は、行政の対応も変わりましたか。

 行政の担当者とは本当に話がしやすくなりました。県独自のがん相談センターも条例制定後すぐにできたんです。だけど、センターはできたけれども、じゃあ誰が相談を受けるのかといったら誰もいないわけですよ。私も乗りかかった船だし、相談員もいないのは大変だから、それまでやっていた仕事を辞めて相談業務に徹することにしました。相談員は、私を含めて2人で、午前9時から午後5時まで、必ず1人は相談室にいるようにしています。同じ場所で、患者さんや家族同士で情報交換ができるサロンも併設しています。


安岡佑莉子(やすおか ゆりこ) さん

2002年「高知県がん患者一喜会」を設立以来、がん医療、がん対策に関わってきた。2007年がん対策推進条例を可決し、高知県のがん対策に患者 会として、がん患者の代表として意見を述べた。厚生労働省がん対策推進協議会委員。高知県がん対策推進協議会委員。高知県がん診療連携協議会委員。高知県 がん患者一喜会理事長

更新日:2009年12月25日

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