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がん政策サミット2010秋 11月7日のレポート

海外研修レポート

国際対がん連合(UICC)世界がん会議
 島根県がん対策推進協議会委員 納賀良一さん
 秋田県がん対策推進協議会委員 田口良実さん
 厚生労働省がん対策推進協議会会長代理 天野慎介さん

日本でも患者が議員と連携すべき
みんなの声をまとめて初めて患者の声が届く

 国際対がん連合(UICC)が2年に1回開催している「世界がん会議」が、2010年8月18から21日の4日間、中国のシンセンで開かれました。同会議に参加した3人の患者関係委員が、感想を交えながら会議の様子をレポートしました。

 UICCでは、海外のがん対策の事例や実情を学ぶことを目的に4日間の会議を見学してきました。

 この中で印象に残ったのは、たばこ対策に関する発表で、中国の農村で小さな子供がたばこを吸っている写真が映し出されたことです。このような現状があることに強いショックを受けました。日本でもたばこ対策に関心を向けなければいけないと思います。

 また、米国では、州法でがん対策の法律が作れますので、山本孝史さんのようにがん患者である議員が身を削って議会で訴えたような事例があるか質問しました。すると「米国では市民の発案であれば、議員がそれを取り上げるのは当然。このため議員のがん経験の有無は重要でない」という答えが返ってきました。日本でも患者団体が、もっとパワーアップして議員と連携すべきだと思いました。

がん登録やがん対策研究の遅れを実感

 また、がん医療の向上に向けて、世界のがん登録について研究し、データを元にしたがん対策を進めている国際研究グループの発表もありました。その研究には日本も参加しているのですが、日本は国単位のがん登録がないので、一部の大阪府、福井県、山形県だけが参加しています。日本のがん登録が遅れていることにより、こういった研究に十分に参加できていないのはとても残念なことだと思いました。

 一方、国のがん基本計画に関する世界各国の取り組みも議論されていたのですが、私たちが参加したセッションでは日本の研究者の姿は見当たりませんでした。日本の研究者や行政もこのような世界のがん対策を学べる場にもっと意欲的に参加すべきではないかと思いました。

 最終日に、英国の患者アドボケートであるジーン・モスマンさんと会食する機会がありました。モスマンさんによると、もともとはUICCに患者参加の土壌がありませんでしたが、患者会の活動で実績を作って粘り強い働きかけをすることで患者参画が進んだそうです。

 「英国では患者会が横断的な連携を取っているけれどもさらに踏み込むことが必要だ。いくつかの患者団体が、それぞれ別のことを訴えても行政はなかなか動いてくれない。みんなの声を一つにまとめて初めて患者の声が届く」とおっしゃっていたのが印象に残りました。

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第二部:都道府県がん予算を知る~必須事項と好事例の紹介
Step0予算書の読み方を学ぶ

講演1:国の予算の読み方、使い方
千葉県健康づくり支援課長 山崎晋一朗さん

 都道府県のがん対策予算を拡充するためには、国の補助事業などを知ることも重要。以前、厚生労働省本省勤務の経験もある千葉県庁の山崎晋一朗さんが、国の予算案、予算書の読み方を解説しました。

概算要求で動きを察知し国の予算のフル活用を
執行額が3割から4割の項目も

 まずは国の予算の流れをご紹介します。例年、国の来年度予算の概算要求が8月末に出ます。その後事務レベルで財務省と細かい詰めを経て、12月のクリスマス前後に政府予算案が内示されます。都道府県、市町村も来年度の予算案を立てなければならないわけですが、概算要求は、国が考えている予算の方針をはっきり知る最初の機会となります。

 平成23(2011)年度の厚労省の予算概算要求を見ると、特に、検診関係に大きな予算がついています。また、都道府県がん対策推進事業として、都道府県のアイデアで比較的自由に使えるものが9億円入っています。

 一方、厚労省の予算を平成20(08)年度から23(11)年度の概算要求まで、国立がん研究センターの分を除いた小計ベースで増減を見ると、21(09)年度は前年度とほぼ同額。22(10)年度は少し減って、23(11)年度の概算要求は前年に比べて約2倍に増えています。ところが、増えているのは予防・早期発見、検診関係の予算で、概算要求額の7割がこれで占められています。一方、がん診療連携拠点病院の予算は、少しずつ減ってきています。検診は重要ですが、拠点病院の予算はもっと増やしてほしいところではあります。がん登録の予算も県独自でやっているところなので、国の予算をつけてほしいと思います。

 がん対策予算で特徴的なのは、例えば、23(11)年度の新規事業に挙げられた「都道府県地域総括相談支援センター」など、患者さんの代表、医療提供者の提案が入ってきて、国も積極的に対応しようという気持ちが出てきていることです。がん対策推進協議会の動き、また皆さんの横の連携はそういう意味でも重要なのかなと感じています。

 一方、平成22(10)年度の国のがん対策予算の執行状況を見ると、3割から4割の項目もあります。自治体としては、せっかくの予算をもっと活用しなければいけないともいえるでしょう。

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Step1予算好事例の共有
講演2:好事例予算「島根県式がん対策予算の拡充法」
島根県健康福祉部医療政策課 小豆澤伸司さん

ふるさと基金や雇用対策費もがん対策に活用
実行委員会方式での協働事業が有効

 ほとんどの都道府県は財政状況が厳しいのが現実です。その中で、がん対策予算の拡充を図る島根県のがん対策担当者、小豆澤伸司さんが、昨年に引き続きその“秘策”を解説しました。

 都道府県によって予算のルールはまったく違います。この為どこでもできるとは限りませんが、島根県の事例をお話しします。島根県のがん対策予算は、平成20(08)年度約7000万円(県民1人あたり97円)だったのが、21(09)年度約1億700万円、22(10)年度約2億5000万円(県民1人あたり347円)に増えています。

 県のがん対策予算には、通常、国庫補助金や県の一般財源を使いますが、島根県ではそれ以外の財源を活用して拡充を図っています。一つは、「ふるさと島根基金」で、これは県外に出た方が出身県のために税金を納める分です。この基金の予算を使い、県立図書館に、がん関連図書コーナーを作り、がん関連の図書を増やしています。

 また、がん診療連携拠点病院のがん相談員の雇用補助費用については、雇用対策事業予算という名目で、各病院が約200万から800万円の補助を受けています。それから、地域医療再生基金を子宮頸がんの時間外検診の補助、マンモグラフィの整備、乳がん検診モデルの作成に使いました。

がん募金もがん対策向上に活用

 一方、県のがん対策募金は2010年3月に一度終わりましたが、同年の4月からまた新募金をスタートし、普及啓発、医療スタッフの育成などにも活用することになっています。お金のかからない事業としては、がん経験者の方や市民に検診啓発サポーターになっていただき、イベントで検診の重要性についてお話ししていただいています。

 さらに、実行委員会形式で事業を行うと、県の予算が少なくても大きな事業に展開することができます。島根では、「知ろう、語ろうがんのこと実行委員会」を県、市町村、病院、大学、メディアなどで作りました。通常はお金を出して新聞公告を打つのですが、メディアも事務局に入っているので、1回ぐらいは無料で広告を掲載してくれたりします。実行委員会方式は企画段階から連携が取れますし、市町村が動いてくれれば、イベントをする前に成功が見えているようなものです。

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講演3:好事例予算「条例が予算に、そして具体的な活動へ」
高知県がん対策推進委員 安岡佑莉子さん(高知県がん患者会一喜会会長)

 国のがん対策基本法施行と同時に、がん対策推進条例が制定された高知県では、患者会が県の事業として相談センターを運営しています。条例制定と相談センター設置へ県を動かす中心となった安岡佑莉子さんが、条例づくりの原点を問いかけました。

条例で何を実現したいのかが重要
「相談センターがほしい」の思いを胸に

 皆さん、条例で何をしてほしいのか目的を持ってやっていらっしゃいますか。条例を作ればそれでよいと思っていませんか。

 私はとにかく、県の相談センターが欲しかった。県に持ちかけましたが、取り合ってくれませんでした。どうすればできるのかと考えた結果、条例を作って相談センターの設置を義務づけるしかない、というのがきっかけでした。何か目的を持ってやると熱い思いが伝わります。何もないのにただ作ってと言っても条例はできないのではないかと思います。患者自身がいかにがん対策に関われるかで県のがん対策が変わってきます。

 「相談センターこうち」では、1人の相談にだいたい2時間ぐらいかかります。一人ひとりの対応がいかに重要かということです。毎日5人から6人の相談者が来ますが、皆さん、口コミでいらっしゃっています。

 相談センターを運営していて実感するのは、患者さんたちは心をすごく病んでいるということです。これをいかに和らげてあげるかが課題なので、今度はスピリチュアルケアを行う「心のケア支援相談員」の養成に乗り出しました。すでに17人のケア支援相談員が活躍しており、さらに12人を養成中です。ただ、心のケア相談員の活動には予算がついていません。交通費も出ない状態です。何とか県の予算がつかないかということで企画を立てて養成をしているところです。これが好事例として成功し、日本全国に広がっていけば、助かる患者さんも多いのではないかと思います。

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Step2条例制定プロセスへの理解を深める
Q&A形式/「みんなで考えるがん対策予算」

がん対策チームなどの仕組みづくりも必要
各都道府県の平成22年度予算案から学ぶ

 各都道府県でがん対策を進めるためには、それに伴う予算が必要です。効果の高いがん対策を進めるには、どのような予算を組むとよいのでしょうか。また、患者の要望に沿った予算をつけてもらうにはどうしたらよいのでしょうか。全国の平成22年度予算案を共有した後、講演を行った県のがん対策担当者や患者関係者が、参加者からの質問に本音で答えました。

 当機構のホームページ上では、45都道府県の平成22年度がん対策予算のメニューが閲覧できるようになっています。これは「平成22年度における『がん対策』に関する具体的な事業一覧」について回答をいただいた45都道府県のデータ(自己申告)を掲載しています。まずは参考になりそうな各都道府県の予算事例を参加者全員で共有していきました。

 自治体ががん対策を推進させるためには、仕組みづくりも大切です。秋田県ではがん対策を進める専任組織「がん対策推進チーム」、鳥取県では、県民が一丸となってがん対策を進める「県民会議」が設置されており、他県でも参考になりそうです。

 また、ユニークな予算メニューとしてあげられたのは、佐賀県が3年に1度実施している予防意識調査、神奈川県の卒煙塾です。

予算化のためにデータは重要

 当機構の埴岡は、「がん対策の3本柱は、がん医療の均てん化、検診・早期発見、予防ですが、45都道府県の予算を見ると、均てん化については拠点病院の予算以外あまりメニューが立っていません。3本柱のバランスもチェックしてください」と指摘しました。

 また、参加者からは、「予算額や内訳は、誰がどのようにして決めているのか」などの質問がありました。千葉県庁の山崎さんは、「一番はがん対策の担当課。こういうことをやって欲しいけど、どうやって形にしたらよいかという相談は、がん対策担当者に直接して欲しい」と回答。また、別の県の職員からは、「どうしてこういう予算が必要なのかと聞かれたときデータがあると強いので、データや当事者の声を集めた要望書などが大事」とのアドバイスもありました。

 場合に応じて、議員や行政の担当者の上司に説明する必要があるとしても、日頃から、がん対策担当者と良好な関係を築いておくことがポイントになるようです。


特別セッション:たばこ対策

講演1:受動喫煙防止条例を広げよう
神奈川県知事 松沢成文さん

 2010年4月、神奈川県で受動喫煙防止条例が施行されました。県知事の松沢成文さんが、関係団体の抵抗にあいながらも、条例制定にこぎつけた舞台裏と条例への思いを語りました。

まずは熱心な団体とスクラムを組もう
反対団体とも話し合い妥協点を探る

 4年前の統一地方選のときに、私は11本のマニフェストを作り、第一番目に受動喫煙防止条例の制定を掲げました。条例の制定は、有権者との約束です。当選させていただいたからには何が何でも約束を実現しなければならないと思いました。

 役所、病院での禁煙、完全分煙は9割の人が賛成です。ところが、飲食店、宿泊施設、娯楽施設は、喫煙者のお客が来なくなったらどうするのだと反対します。当然、たばこ関係の団体、製造業、流通業界も大反対です。完全分煙はできるわけないという強い反対のメールがきました。政治家は命張っても約束を守らなければいけない。だからといって反対を押し切って勝手にやってもうまくいかない。罵声を浴びせられながら、1年かけて何度も話し合いました。お互いの理解を深めて妥協点を見出す。このプロセスを逃げたらうまくいきません。

譲れなかった罰則規程

 最後は県議会で、徹夜で議論をした結果、反対派が、「100㎡以下の小規模飲食店とホテル・旅館は努力義務に」「罰則をつけない」、この2つの条件を提示してきました。すべて認めれば正に骨抜きです。罰則だけは譲れない、その代わり、小さいお店は努力義務、その後は規制に入れると、ギリギリの交渉をしました。本当は小規模店舗ほど受動喫煙の害が大きい。しかし客と経営者だけではなく従業員の問題もあるので、3年後の改正で考えていくことにしました。このように考えが異なる人を巻き込んでおくことが大切です。関係団体の皆さんは、巻き込まれて知事と一緒に作った条例だから、反対だけど守ろうとしてくれています。

 いま、受動喫煙防止条例を全国に広げていこうという運動をやっていて、5つくらいの県で動きが出ています。条例を実現するには、受動喫煙防止に熱心な団体とスクラムを組み、一つの大きな運動体にすることです。そして、理解していただける県議会議員を探すこと。応援の演説、講演には行きますから、私でよければ利用していただきたい。たばこ対策は利権構造との闘いであり、財務省のたばこ行政支配を打破しない限り進みません。皆で一緒に、国を変えていきましょう。


講演2:がん予防検定~たばこ編~をやってみよう!
国立がん研究センター研究所 望月友美子さん

 たばこ対策は、がん対策で重要な柱の一つ。世界的にも著名なたばこ対策研究者である望月さんの解説を聞きながら、参加者が「がん予防検定~たばこ編~」にチャレンジしました。この検定は、北海道の北見NPOサポートセンターが当機構と協働で実施している「がん予防検定」のソフトを活用したものです。

年間何人がたばこによって命を奪われている?
たばこ政策の市民による監視が重要

 がんの原因として、たばこが占める割合はどのくらいでしょうか。たばこさえなくなれば、がんの3割がなくなります。食事もがんの原因の3割を占めていますが、食事については、一つの食品をやめればがんがなくなるというものはない。がんの発生に大きく直結しているたばこを世の中から少なくしていくこと、なくしていくことは非常に重要だと思います。

 では、日本で、たばこが原因で亡くなった方の数は20世紀中でどのくらいだったでしょうか。20世紀でたばこの影響が大きかったのは後半の50年間ですが、答えは300万人にのぼります。

 また、(能動)喫煙、受動喫煙で毎年何人の方が亡くなっているでしょうか。(能動)喫煙での死者は、がん、心筋梗塞、脳梗塞、それ以外にたばことの関連がわかりつつあるものまで入れると20万人で、どんどん増えています。

 受動喫煙の方は、特にはっきりわかっている肺がんと心筋梗塞だけに絞った過小評価気味の数字で年間約7000人が亡くなっています。どういう場所で受動喫煙による死亡が起こっているかというと、職場が3600人、次に家庭です。

 

「がん予防検定ワークショップ」はこちら>>

政府がたばこ規制に消極的なワケ

 最後の問題は、「日本では、たばこ製造・販売企業の株を政府が保有していますが、保有率はどれに近いか」です。現在、財務大臣が50.01%の株を保有しています。ということは、たばこ製造・販売企業の株価が下がるような政策を政府は打てないということで、これが、日本の根本的な問題です。日本は、2004年にたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)を批准しました。たばこ関連産業が守られている構造をどう変えるか。政治はどこまで当てになるかわからない。変化の担い手は皆さんだと思います。

 私のビジョンとしては、2020年までに、とにかくたばこから解放された世の中を作っていきたい。フィンランドが2030年までにたばこを撲滅する国家宣言をしています。我々にもできないことはないはずです。


講演3:日本のたばこ対策、世界のたばこ対策
日本医療政策機構 乗竹亮治

 たばこ対策を進めるためには、データや制度を知ることも重要です。覚えておきたい国内外のデータと制度について、当機構の乗竹亮治がご紹介しました。

喫煙は世界の予防可能な死亡原因の最上位
市民社会の参加が不可欠な枠組条約、MPOWER

 アドボカシー(政策提言)には、データと情熱の両方が必要です。データをいくつか紹介すると、がんの死亡のうち、喫煙が原因のものが日本では男性が40%、女性が5%。肺がんの死亡は喫煙が原因のものが男性70%、女性20%とかなり高くなっています。たばこ対策の必要性はもはや常識です。たばこによる被害を見ると、20世紀の間世界全体では1億人、毎年540万人が死亡しているといわれています。

 制度として覚えておいていただきたいのは、2つあります。1つは、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(以下、FCTC)」で、たばこによる被害から国民や市民を守るために世界が連携して進めていこうという趣旨の条約です。基本原則の7番目では、「市民社会の参加は不可欠」とうたっています。皆さんからの声、地域からの声が一つになって、たばこ対策を動かすことができるのではないでしょうか。

 もう1つ覚えていただきたいのは、MPOWERです。世界保健機関   (WHO)が推進しているたばこ対策の標語です。Monitor(監視:たばこの使用と予防策の監視)、Protect(保護:たばこの煙からの保護)、Offer(支援:禁煙の支援)、Warn(警告:たばこの危険性の警告)、Enforce(施行:たばこの広告、販促、講演の禁止)、Raise(引き上げ:たばこ税の引き上げ)の頭文字を取ったものですが、力づける、推進するという意味のEmpowerと掛け合わせた言葉です。

 オーストラリアでは、2012年から、たばこのパッケージにロゴやマークの印刷が禁止されます。日本は、たばこ対策スコアが大変低いのが現状です。エビデンス(根拠)に基づいたたばこ対策が求められます。もう一つ、FCTCは、“禁煙”でなければ意味がないといっているのに、いつの間にか日本では、“禁煙”が“分煙”にすり替わっている。こうなってくると、世界からどんどん遅れていく。これから市民社会から声をあげていくこと重要でしょう。ぜひ、一緒にたばこ対策を頑張っていきましょう。

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条例講演7:岐阜県条例のいま

 全国10番目のがん対策推進条例を2010年9月に施行したのが岐阜県。サミット開催時点で施行されているなかで最も新しい条例を作った県議会議員の岩花正樹さんと、がん対策推進協議会の患者関係委員の橋渡智美さんが、岐阜県の条例を紹介しました。

がん対策推進計画の実現のために条例化 女性がん予防、セカンドオピニオンが特徴
岐阜県議会議員 岩花正樹さん

 条例を作った一番の目的は、がん対策推進計画を作ったものの、いわゆる“絵に描いた餅”で、どうしても計画のみで実行できている部分が少なかったためです。2010年1月に、がん予防に対して条例を作りたいという話が、議会側と執行部側から出てきました。これを受け、2月に各会派代表者会議で議員提案のがん対策推進条例を作ったらどうかという話をさせていただきました。岐阜県はがんの死亡率が高い県でして、何とかこれを食い止めないといけない。すべての県民にがんについての知識をしっかり持っていただきたいという思いもありました。

 がん条例を作るまでには、計画を実行するための条例ということを中心に検討会を6回開き、2人の医師にも参加してもらい、喧々轟々(けんけんごうごう)の議論を行いました。特に、他県にあります「セカンドオピニオンの推進」は、県政モニターのアンケートでも多かった項目ですが、盛り込むのが大変な苦労でした。

 現在、平成23年度予算案を作っているところですが、がん対策に関する予算増加を県に要望しているところです。条例によって、がん対策予算を増額する流れできています。条例があることによってがん対策は本当に変わっていきます。まだ制定されていない県にはぜひ条例制定をお勧めします。

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条例を絵に描いた餅にしない
岐阜県がん対策推進協議会委員 橋渡智美さん(あけぼの岐阜代表)

 私も、2009年、日本医療政策機構 がん政策情報センターから他県の条例に関する資料を取り寄せて、県会議長に会いにいきましたがなかなか動きがありませんでした。あきらめていたところに、県議会でがん条例の話が持ち上がりました。

 院外患者会はあけぼの岐阜しかないので、乳がんだけではなくがん患者の一員として、地元に帰って、岩花さんと県議会、県庁と、三位一体で条例を絵に描いた餅にしないようにしようと約束しましたので、またその成果を次回のサミットで発表できたらと思います。


Step3実践編
グループワーク形式/条例の障壁を解決してみよう

課題を明確にし解決策を導く
まずは患者会同士の横の連携が必要

 がん対策の推進には、がん政策サミットで得た知識を行動につなげることが大切です。実践編では、参加者が5つのグループに分かれて、条例の障壁になっている問題点や課題を洗い出し、解決策を議論しました。

 グループワークでは、最初に、条例制定の障壁になっていると思われることを参加者一人ひとりが書き出しました。次に、その障壁をどのように解消していくかグループ全員で解決策を考えました。

 解決策を話し合う場では、「患者会が部位別であるためか、行政や議員さんがあまり話を聞いてくれない」という患者リーダーの声に対し、「患者会が横断的な組織を作って要望すれば、こちらとしても対応しやすい」と別の県の議員が答えるシーンも。都道府県や立場を超えた白熱した議論が交わされました。

条例は「作って終わり」ではない

 障壁としてあげられたのは、「県議会議員の条例の必要性への理解が進まない」「県民の関心が低い」「患者としても勉強が足りない」といった点です。「地元に帰ったら、まず自分の所属する患者会で、身近な人たちに条例が必要だというコンセンサスを得る。県内で、患者会のネットワークを構築する。そこで、条例を作る要望書を作り、議会の各会派の事務局に声をかけて条例を作ってもらう」といった具体的な解決策を提示したグループもありました。

 すでに条例を作っている県の患者リーダーからは、「条例は『作って終わり』ではなく、時期に合わせて患者、行政、議会が検討し、見直していくことで本当の条例になるのではないか」といった意見も出ていました。 


出席者からの感想(2日間の振り返り)

地域の活動にどうつなげるか
理解者になりそうな議員に働きかけを

 最後に、参加者全員が、2日間のがん政策サミットを振り返って感想や決意を述べました。患者関係者、行政、県議会議員、それぞれの立場や県を超えた話し合いの収穫を報告する声が目立ちました。

 「どのように動いたら条例ができるかわかった気がします。帰ったら頑張ります」「この場で、行政、議員の方とつながりができてよかった」「一人で聞くのがもったいなかった。次は自県の行政担当者や議員と一緒に来たい」「帰ったら、県内の患者会のネットワークを作りたい」――。患者関係者からは、前向きな発言が相次ぎました。

 また、行政担当者からも、次のような発言がありました。

 「行政としても、条例の内容について提案したい。ただ、予算に反映するには10月ぐらいに意見交換の場を設けることが好ましい」「条例は制定されたが、条例に見合うだけの対策を取らなければいけないと実感した。患者会、家族会の声を聞けていないことに気づいた」

 さらに、都道府県県議会議員の一人からは、「議員には政務調査費というものが出ていて旅費は公費で出るのだから、もっと地元の議員をこういう場に誘ってほしい。議会の本会議の発言を見て、理解者になりそうな議員を選んで誘って働きかけてください」と、具体的なアドバイスがありました。

 最後に当機構の埴岡が、「皆さんのリーダーシップに感服しました。患者、行政、議員、いままでなかった横のつながりができて、明日、明後日からの地域の活動につながればと思います。また皆さんから成果を聞かせてください」と結んで、2日目のサミットは閉会になりました。

[関連サイト]

都道府県別のがん対策予算
http://ganseisaku.net/practices/archives/budget/gan_local/gan_torikumi.html

かながわ卒煙塾
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/15/1383/gan/sotuenjyuku.html

国会議員あいさつ

衆議院議員内閣官房副長官(民主党) 古川元久さん

  民主党の古川元久さんは、公務に多忙な中、サミットに駆けつけ、2012年度にスタートする第2次がん対策推進基本計画策定へ向け、患者リーダーの協力を求めました。

がんは国民が一致団結して取り組むべき問題
患者リーダーががん対策の質の向上を図ること重要

  議員になって15年間、一貫して社会保障の問題に取り組んでまいりました。今の社会保障の基礎ができたのは50年前ですから、年金、医療はもっと現在の高 齢社会に合った仕組みに変えていかなければいけない。とりわけ、がんについては国民病として、一致団結して取り組まなければ対処できない問題です。

  皆様方がそれぞれの地域でリーダーシップを取っていただき、それぞれのがん対策の質を上げるということが非常に大事なことだと思います。地域でよいもの は、国のレベルでもやっていきたいと思いますので、ぜひお教えください。第2次がん対策推進基本計画策定に向けてもう一度、世論を盛り上げていただき、 いっそう中身の濃い計画を作っていきたいと考えています。内閣官房長官(がんサミット開催当時)の仙谷由人さんも胃がん経験者として、がん対策はしっかり やらなければいけないという決意です。この問題は党派を超えて取り組んでいきたいと思っておりますので、ご協力をお願いします。

衆議院議員 厚生労働委員会委員(自由民主党) 菅原一秀さん

  父親と祖父母3人をがんで亡くした体験からがん対策に精力的に取り組む菅原一秀さんは、超党派での取り組みの重要性を強調しました。

がん予算の確保を超党派で進めたい
政治の力でがんの痛みの緩和を

  日本では、年間60万人ががんに罹患し30万人の方が尊い命を亡くしています。今日は都道府県議会議員の方もいらっしゃいますが、がん対策は国と地方が一体になってやらなければいけません。2012年度から、第二次がん対策推進基本計画が施行になるわけですが、予算確保のためにも超党派の議連で前向きに進めていくことが大事だと思います。

  がん対策は形になっていない部分がたくさんあります。例えば、がん拠点病院を強化しなければいけないし、コールセンターが機能していない問題もあります。緩和ケアもまだまだ進んでいない。私の父は胆管がんで亡くなりましたが、最後、床ずれの痛みに苦しみました。ちょっとした痛みでも、和らげられるのなら和らげるのが人間ではないか、政治ではないかと感じた一人です。そういう思いを持って、これからも厚生労働委員の一人として、頑張っていきたいと思います。皆様方には、横のつながりを持ちながらぜひ頑張っていただきたい。本当にご苦労様でございます。

参議院議員 元・厚生労働副大臣(公明党) 渡辺孝男さん

  医師としての経験をもつ渡辺孝男さんが、がん対策の現状を説明するとともに、患者関係者にエールを送りました。

地域の実情に合った条例づくりを応援したい
がん予防啓発活動にも患者の声が重要

  今回のテーマは、がん対策推進条例ということですが、公明党としても、地域の特性を生かした条例を作り、アクションプラン等を進めながらがん対策を推進す るのは重要であると考えております。例えば、子宮頸がん予防ワクチン、検診の普及についても、ワクチンの費用を助成するところとそうではないところと、す でに市町村格差が出てきています。

  ハコモノなどは財源を確保すれば進みますが、啓発は予算を取るだけではなかなか進みません。医療機関、行政が気づかない点も多くありますので、現場で必要 性を実感されている皆さんが行政の方にご意見を申し上げて、パワーアップをしてもらうことが大事です。当事者の方々の生の声を届けて条例を作っていくこと が重要だと思います。我々も各地の実情に合ったがん対策ができるように支援をしていきたいと考えています。

※肩書きは当時のものです

<11月6日  11月8日>

更新日:2011年04月18日

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